21_21 DESIGN SIGHT 企画展「スープはいのち」
21_21 DESIGN SIGHT / 2026.3.27-8.9
作品出展
「くぼみから器へ」
くぼみは、水で満たされる。
海は、雨水を受けとめ、塩を生み、生命を育む、もっとも大きなくぼみだ。
湖や池もまた、自然に生まれたくぼみとして雨や水を受けとめ、
動物も人も、くぼみのそばで生き、満たされてきた。
人は、環境の中にあるかたちに気づき、それを活かしてきた。
水たまりのような小さなくぼみを写し取るように、手のひらで液体を掬う。
貝殻や木の実の殻、岩のくぼみや竹の節にも水は溜まる。
それらは道具としてつくられたものではないけれど、
液体を貯めるかたちとして、すでに充分に機能していた。
その行為やかたちを手がかりに、身近な素材で鍋や器、匙をつくる。
新しいかたちを発明したというより、
環境にあったくぼみを身体を通して道具に仕立て、暮らしの中に取り入れてきた。
洞穴や岩陰が住処として見出されたように。
環境にあるくぼみと、それを人が活かしてきたくぼみを並べてみる。
その連なりの先に、人がつくってきた多様な器がある。
From indentation to vessel.
Indentations fill with water.
The sea is the biggest. As it receives rainwater, it creates salt and fosters life.
Lakes and ponds are also naturally formed indentations that fill with rainwater.
Animals and people living nearby use them to sustain life.
People noticed how natural shapes could be copied and utilized.
As if imitating small puddles, we scoop up liquid in our hands.
Water pools in shells, nut husks, holes in the rock and bamboo segments.
These are not artificial, or made to be used as tools,
but they nevertheless function as holders of liquid.
Taking the lead from natural shapes and functions, we use materials close at hand to
develop pots, vessels and spoons.
People re-interpret the forms of natural indentations to create tools, laboring to
replicate those shapes physically,
rather than inventing brand-new forms.
Just as caves, or spaces under rocks can be seen as possible homes.
Juxtapose the indentations of natural environments with human-made equivalents.
Beyond these pairings, humanity has gone on to develop a huge range of vessels
and containers.
制作
土鍋・土匙:木村肇(一陽窯)
食べられる匙:山フーズ(小桧山聡子)
借用
スプーン:遠山夏未
カフェオレボウル:丹羽真一(丹羽茶舗)
協力
岡篤郎、鯉江明、高江洲若菜・鶴田貴大(壺屋焼窯元 育陶園)、Jinen antique
映像協力:高橋真
写真:加藤晋平
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タイトル 企画展「スープはいのち」
会期 2026年3月27日(金)- 8月9日(日)
会場 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
主催 21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援 文化庁、経済産業省、港区教育委員会
特別協賛 三井不動産株式会社
協賛 株式会社三宅デザイン事務所、株式会社イッセイミヤケ
展覧会ディレクター 遠山夏未
アートディレクター 田中義久
グラフィックデザイン centre Inc.
会場構成 常山未央+能作文徳
音響設計 岡 篤郎
テキスト 保田園佳
企画協力 小池一子
参加作家
和泉 侃、ISSEY MIYAKE、veig、岡 篤郎、岡本憲昭、加藤奈摘、 佐藤政人、志
鎌康平、関口涼子、高橋孝治、田中義久、津田 直、常山未央+能作文徳、遠山
夏未、長尾智子、二階堂明弘、NOTA&design(加藤駿介、加藤佳世子)、野村友
里、林 響太朗、UMA/design farm(原田祐馬、津田祐果)、山フーズ(小桧山聡
子)
レシピ出展
遠山夏未、長尾智子、野村友里、船越雅代、細川亜衣、山フーズ(小桧山聡子)
テキスト出展
有元利彦、今道友信、LTshop(松田沙織)、小池一子、早川茉莉、丸元淑生
21_21 DESIGN SIGHT ディレクター 佐藤 卓、深澤直人
アソシエイトディレクター 川上典李子
プログラム・マネージャー 中洞貴子
プログラム・オフィサー 安田萌音
本展では、衣服や住まいという身体の外側の環境と、食という内側の環境を
「身体を包む行為」として捉えてきたデザイナー・遠山夏未をディレクターに迎
え、スープを入り口に、衣食住の根源をあらためて見つめ直します。スープは、
水と食材を火にかけるという最小の行為から生まれますが、その一杯には、素材
に宿る力、熱の移ろい、土地の歴史、身体の感覚、器や食空間の静かな佇まいと
いった、多様な層が同時に息づいています。外側の世界と内側の世界がひとつに
溶け合い、小さな器のなかに"生きる環境そのもの"が立ち上がる——
こうした構造を、衣食住を支える「包まれる身体」という共通の原理をもっとも
素直にあらわすものと遠山はとらえます。
現代の暮らしは便利さが進む一方で、その背景にある仕組みや環境は複雑さを増
し、衣食住を支える原初的な感覚が遠ざかりつつあります。本展では、水や塩、
野菜などの素材が放つ物質としての気配、熱とともに変化するさま、器や空間と
の呼応、匙に託された"食べる"という所作の繊細な動き、さらには記憶や香りと
いった目に見えにくい層を手がかりに、生活をかたちづくる環境を"包む"という
視点からとらえ直します。抽象的な構造としての衣食住と、人間の身体に残る野
生的な感覚。そのあいだに潜むデザインの働きを静かに浮かび上がらせていきま
す。こうした眼差しは、21_21 DESIGN SIGHTが大切にしてきた「日常の中か
らデザインを考える」という姿勢とも深く通じています。スープという最小の食
をきっかけとして、身体や環境、記憶や時間が折り重なる
なかで、来場者の方々が五感を通して新しい視点や気づきを見出し、衣食住の根
源に触れる体験につながる場となることを願っております。